2009年5月14日木曜日

いいじゃないか、サブリミナルで

5月10日放送のNHK大河ドラマ『天地人』第19回「本能寺の変」の演出に対して、視聴者から「サブリミナル映像ではないか」とのクレームが寄せられたという報道を見ました。

「綺麗事ではこの世は治らん!」と叫びながら、織田信長が炎につつまれるシーンで、
本能寺が爆発し、死を覚悟する中、走馬燈に、風景や明智光秀の顔が、短い時間挿入されていた部分です。

サブリミナル映像は、人間が認識できないほど、ほんの一瞬、映像を滑り込ませること。もともと、広告表現の編集テクニックの一つとして、1957年にアメリカで生まれたというのが定説です。
映画館で上映する映画の中に、商品の購入を促すメッセージを入れたのです。

「コーラを飲もう」

「ポップコーンを食べよう」

メッセージを入れた時と入れなかった時で、比較した結果、
メッセージを入れた時の方が、売上げが伸びたと言われていますが、 信憑性については、賛否が分かれています。

北野武初監督作品の「この男、凶暴につき」では、
「DEATH」(死)というタイポグラフィーが滑り込んでいました。
日本の映画史上初となったサブリミナル手法です。
当時、青土社の月刊誌『imago』が大喜びで取り上げていました。
「ついに、たけしがやった!」と。

日産の四駆の自動車が、モニュメントバレー風の荒野をかっ飛ばすTVCMがありました。荒々しい鬼のような顔がチラッとはいった作品。あれはふた昔ほど前だったでしょうか。

サブリミナル手法を使った映像表現のうち、特に広告については、消費者自身が認識できない無意識の領域に働きかける可能性があると判断し、消費者保護の観点から、現在、規制の対象となっています。

しかし、学生時代に閾下領域広告(サブリミナル広告)に関する文献をあたったところ、思い込みの激しい「メディアセックス」という翻訳モノの一般書が出版されたくらいで、まともな研究は、なかったように記憶しています。
果たして、認識されていないメッセージで、無意識に働きかけることなんて、できるのでしょうか。

唯一、金沢工業大学が映像分野のサブリミナル手法を追試・研究していました。アメリカの映画館で実施された時と同じように、比較実験をしたのです。
その結果は“白”。サブリミナル手法そのものには、消費者へ購買動機を働きかける効果はなかったという結論です。

もともと、広告は、商品やサービスの購入を促したり、ブランドイメージを向上させることを前提にして作られています。そのことと、ひとつの表現方法であるサブリミナルとは、区別して考えたほうがいいんじゃないか。

動画に入り込むサブリミナル手法は、「カットバック手法」の一種じゃん、というのが私の見解です。
http://www.youtube.com/user/aoihasumi
(進化する市民農園)

いっそのこと、いまこそ、サブリミナル映像を解禁して、一つの表現手法として相対化してしまってはどうでしょう。

TVCMへの出稿が減少し、さらにDVD録画でスキップされるご時世です。
予め、視聴者に対して、これはサブリミナル映像が使われていますよと告知して、
番組はもちろんCMにもバンバン入れちゃう。

『ウォーリーを探せ!』みたいに、
『サブリミちゃんを探せ!』っていうのどうでしょう。

視聴者には必ず録画してもらい、何度も見てもらう。
後でスロー再生したり、コマ送りしたりしながら、
メッセージを見つけ出してもらう。
クイズに応える感覚で、プレゼントに応募する。
応募の数は、第二の視聴率の指標になるかもしれません。
アンケートを加えて、視聴質を調べるのもいい。

スポンサー企業は大喜びするに違いありません。

PR通信社 イーネット・ブレーン
その先を目指すコミュニケーション戦略
http://www.enb-inc.jp/

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

あなた無知すぎるよ~。あるいは無知なフリをしているのか。。。
http://x51.org/x/07/03/1240.php

芹澤比呂也 さんのコメント...

匿名さんは、以下のような実験を、自ら試したことがあるでしょうか。緑のレンズと赤のレンズを入れたサングラスを数時間かけ生活すると、いったいどんな現象が起きるのか・・・。

かけたサングラスを数時間後にはずすと、緑色のガラスの方の視界は、赤っぽく見えます。一方、赤色のガラスの方の視界は、緑色っぽく見えます。

つまり、人間の視覚は、平均的な基準に引き戻そうという働きがあります。さらに、数日間続けると、今度は、補色関係の色彩に調整されるレベルを超えて、色覚が曼荼羅のように混乱します。

これは、いったい、何を意味しているのでしょうか。