2009年5月17日日曜日

段取り9割のビジネス成功術

北海道に住んでいる学生時代からの友人が、
自宅に遊びにやって来ました。

現在、大手物流会社の札幌支店に勤めていますが、新しい物流拠点が開設された関東地方に、応援のため長期滞在しているとのこと。

彼と私は、学生時代、巨大倉庫で数年間アルバイトをしていたことがあります。当時、ハンドリフトをキック・スケーター代わりにして、競争しながら、ピッキング作業をしたものです。 昼休みには、ダンボールの中に緩衝材をつめてぽかぽかにして、昼寝をして体を休めました。

その後、物流の仕事の美学に魅せられた彼は、一般家庭やオフィスのお引っ越しから、スーパーコンピューターの搬送まで、運送のプロとして歩み始めました。ありとあらゆるものを、安全に、確実に、保管・搬出・搬入するノウハウを蓄積していきました。

そんな彼が、運送屋として、一番大切にしている美学は、「段取り」だと言います。
運送の仕事は、「段取り」が9割を占めると。

雪深い北海道では、天気予報を見極めながら、いろんなパターンで段取りを組むそうです。搬入時間、搬入ルート、必用なスタッフの人数はもちろん、発注車両の選択など、いく通りもシュミレーションをして、当日に備えます。

特に、温度差に弱い精密機器を運ぶ時には、暖房装置付きのトラックを選ぶ必用があります。扉付近には、外気が入って、室温が変わらないようにカーテンも付いている特殊な車両です。

商品のあちこちを直接手で触って、異常がないか温度をチェックする、そんな職人的なスキルも求められる、過酷な現場です。

さらに、トラックが入れない大雪山系の山奥に物を運び上げる仕事もあるそうです。山の麓でトラックから積み替えて、その先は、ヘリコプターを使うしかありません。こんな時は、たった一回の搬入のために、まず、仮設する、発着用のヘリポートの候補地選びから、仕事が始まります。

北アルプスの穂高連峰のベース基地となる唐沢カールには、物資輸送用のヘリポートがありますが、登山客も多く、減価償却は充分に済んでいることでしょう。

ところが、登山客も足を踏み入れないという、一回限りの大雪山系のヘリポート・・・
コストと手間隙かけて、いったい、何を運ぶのでしょうか。

話を聞いて、なるほどと思いました。通信設備の中継局などは、想像を絶する山奥に作られることが多いそうです。実は、通話エリアの拡大競争でしのぎを削っている、携帯電話業者の設備です。

登山客の携帯電話需要に応えようとする狙いがあるのでしょう。
ちょっと古い話ですが、テレビの主題歌を歌う、中島みゆきの歌声が聞こえてきそうです。

同じものを同じ場所に効率よく搬入する、都会のルート便は、段取りがマニュアル化されていますが、運送業界には、マニュアル化できない、一発勝負の、段取りがものを言う世界があるということ。

そういえば、興福寺の仏像、阿修羅様が、奈良から上野の博物館に、特別展のため輸送された様子が、先週、テレビで紹介されていました。これまた、プロの仕事です。国宝に指定されている仏様に傷をつけるわけにはいきません。まして、輸送中に何かにぶつけて・・・
素人は、腕が折れやしないかと、ハラハラしてしまいます。

プロの仕事とは、本当に頭の下がるものだと、つくづく思います。自分の仕事も、段取り一番で、再構築してみます。

合掌。

PR通信社 イーネット・ブレーン
その先を目指すコミュニケーション戦略
http://www.enb-inc.jp/

0 件のコメント: