2009年12月14日月曜日

「百姓」とは何か

最近、仕事の合間の気分転換に、30分ほど歴史家の網野善彦の著書をめくっています。
近代歴史学に衝撃を与え、歴史教科書にも影響を与えた『日本の歴史』全26巻(講談社2000年)です。この中で、一番エキサイティングなのが00巻の『「日本」とは何か』です。

網野氏は、江戸時代の奥能登・輪島で、当時の「農家」が、船商売で大きなビジネスをしていたこと証明する古文書を発見しました。当時、サハリン南部にまで交易圏が広がっていて、金融業も営んでいたというのです。

さらに、その勇敢な船乗りは「下人」と呼ばれていた民。ダイナミックな事業を様々なタイプの民が入り乱れて担っていた日常が目に浮かびます。専門職として中小企業に雇用されるような、人材の労働市場もあったのではないでしょうか。

農業従事者の占める人口比率の定説の引用元を突き止めて間違いを論考したり、襖の下張り紙に隠されていた古文書の研究も引用されていました。なにしろ、手にとって読んでみることをお勧めします。

まるで推理小説を読むように、今日いわれるところの一次産業、二次産業、三次産業を「百姓」とよばれた民が担っていたという事実が解き明かされていきます。

200年後の現代日本。全国で地域経済活性化事業に注目が集っていますが、特に「農商工連携」という言葉をわざわざ使わなければならないことに苛立ちを覚えます。


PR通信社 イーネット・ブレーン

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