山歩きが好きな人は経験があると思いますが、
標高1000m程度の山から景色を見渡したとき、
色の変化に気づきます。それは自然林と人工林との境目。
一昔前まで、僕は植林された針葉樹よりも、
紅葉やこんもりとした樹形で目を楽しませてくれる
広葉樹に愛着がわいていました。
ところが最近では、杉や檜などの針葉樹がいとおしく感じられます。
人間の手が加わった人工林が
貴重な資源として大切に引き継がれているんだなあと思うわけです。
ただし、多くの人工林は放置されたままで、
ひょろひょろの木が多く、荒れた森が増えています。
この状況は待ったなしの危機的な事態です。
人工林は植林後に間伐といって間引きをしてあげないと、
光が入らない暗い森になってしまい、
元気な木が育たなくなってしまうのです。
放置された森が増えたのは林業が衰退したため。
戦後、急いで住宅を作るために人工林の多くを
無計画に切り出してしまった日本は、
その後あわてて植林に励みましたが、
安い輸入材に押されるようになって
地主の気持ちも離れて担い手も減ってしまいました。
膨大な税金をつぎ込んで植林をしてきた木が
50年経ってようやく使える時期を迎えていますが、
このままではせっかくの資源がだめになってしまいます。
「安い輸入材に押されて衰退してしまったのだから
しょうがいないじゃないか・・・」とあきらめるのは早とちりです。
実は国産材は輸入材より既に安くなっています。
アジアやロシアなど主な丸太の輸出国が資源を確保するために
関税を引き上げていることが大きな原因になっています。
たとえば来年1月にはロシアは80%の輸出関税を予定していますが、
これは事実上の禁輸措置。
否が応でも国産材を有効利用しなくてはならない時代が
やがてやってくるわけです。
安定供給する仕組みがないため、安くてもなかなか使ってもらえない、
コストの壁が打ち破れず利益がでないため担い手が少ないという
厳しい事情もありますが、なんといっても
安くて、丈夫で、高機能。
3拍子そろった国産材のマーケットの可能性は
計り知れないものがあります。
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