2010年6月28日月曜日

1Q84ブック4の必然

村上春樹の『1Q84』ブック1~3を読んで以来、
どうもモヤモヤしていました。
(リンク先ネタばれ注意)




そして、ようやく気が付いたことがあります。




ブック1、ブック2で、
オウム真理教を髣髴とさせる
新興宗教が出てくるのですが、
そこから分裂したグループのリーダーの娘が
ヤギの死体と暗闇の中で閉じ込められる
経験をします。




このシーン、古代の神話の世界共通のパターンでもありますが、
村上春樹は
30年前にニューアカデミズムブームの火付け役の一人だった
中沢新一のある体験を意識して
小説のプロットに組み入れたのかもしれません。


ネパールでチベット仏教の修行をしてきた中沢新一は
『チベットのモーツアルト』(1983年/せりか書房)で一躍有名になって、
その後、オウム真理教擁護(と解釈されたSPA!発言)で
散々マスコミに叩かれて沈んでいきました。






その後、中沢新一が第3回小林秀雄賞を受賞した
『対称性人類学――カイエ・ソバージュV』(2004年/講談社)では、























チベット仏教の修行のフィールドワークの記録として
殺される山羊を自分の母親だと観想して、
山羊との同質性を感じた経験が語られています。



そして、以下のようなくだりが出てきます。




(以下引用)

かつて世界人間動物、個人と全体を区別することのない
「対称性」の思考に彩られていた。
そこでは支配 ― 被支配の隔てもなく、
死と生の間にすら決定的な差異は認められていなかった。

ところが、国家一神教に象徴される「非対称性」の力が
世のすみずみまで行きわたった結果、
あらゆるところで深刻ないきづまりが生じているのだ。

人類本質が「対称性」にあるため、
「非対称性」の社会では必然的に閉塞へ追い込まれていくのである。
とはいえ、今さら国家のない時代に戻ることなどできるはずもない。
そこで示されるヒントのひとつ仏教である。
じつは、仏教こそ対称性を極限まで磨きあげた思想なのだ。


(以上引用)






















※源流はカルロス・カスタネダの『呪術師と私』(1972年/二見書房)を
当たるといいです。
さらにその評論、真木悠介『気流の鳴る音』(1977年/筑摩書房)も。
二元論の世界観を相対化するためには、
風車のように各事象を回転させ続けるしかないと
なんとなく感じるかも知れません。








★タモリ、糸井重里、中沢新一の
わかりやすい対談形式の講演会。
仏教以前の人類の叡智と
日本人のアイデンティティーの地下茎を
掘り起こしてくれる秀逸な記事です。

【ほぼ日刊イトイ新聞】
「はじめての中沢新一。アースダイバーから、芸術人類学へ。」




★少し長いので元気な時に

「芸術人類学とは何か」
多摩美術大学芸術人類学研究所
一言で言えば







つまり、村上春樹は、
小説の形で「対称性人類学」を
描こうとしていているのでは?




ブック4のプロットは既に完成しているに
違いありません。






























私はビジネスを通して対称性人類学」の世界を
見てみたいという衝動に駆られています。




昨年以来、カスピ海の北西にあるロシアの共和国、
カルムイクが気になってしょうがありません。




ここの大統領は、日本語も上手で
どこかの国の元首相の奥さんのように
UFOや宇宙人を見たといって、
ちょっとした騒ぎになっています(笑)。


APF通信BBニュースによると
カルムイク共和国のイリュムジーノフ大統領は、
「透明のチューブに入った宇宙人」を見たというのです。


その光景を想像すると、『1Q84』ブック3で
登場人物の川奈天吾が入院している父の
見舞いに行ったときに、
病室のベットで見た「空気さなぎ」の世界を
彷彿とさせます。






カルムイクはヨーロッパ圏で唯一の仏教国とも
いわれていて(地理学的には誤りですが広義で)、
ダライラマとも関係が深い国です。


ところが、国内にはモスクもチャペルも国が建設していて
一神教世界との宗教的調和に成功しています。




不思議な場所です。


















































PR通信社 イーネット・ブレーン
その先を目指すコミュニケーション戦略


2010年6月16日水曜日

PR通信社は港

イーネット・ブレーンという「PR通信社」を作った訳は
いくつかありますが、一番大きな理由はやはり成長余地が
最も大きな立ち位置だと感じたからです。

現在、PR業界の市場は成長中で
740億円程度(08年)と推計されますが
実はここにはたいした意味はありません・・・。

我々はクライアント様と仕事をする中で
各業界のブルーオーシャン領域を常に感じ取りながら
風を帆に受けられる心地よいディンギーに乗船します。

ティラー(舵棒)とメインセイルを操るのは
基本的にクライアント様の役目です。

ハイクアウトして船のバランスをとったり
すばやくジブセールを張り替えるのがPR通信社です。

時には役割をチェンジする時もあります。


未来の社会で求められるはずの事業領域を見極めるために
海上に吹く風を波の模様と色で確認しながら
タック(方向転換)をします。





今後、有望領域と言われてるたとえば「環境」。
あるいは新興市場といわれる地域「BRICs」。
これらは既に中堅・大企業のレッドオーシャンとなっています。

ブルーオーシャンの事業領域と地域のマトリクスで
ポートフォリオを組んで
荒削りでもいいから複数の事業モデルを作り込むことが
リーマンショック以来の起業の作法でしょう。

そんな理論は聞いたこともないよと、
反論する方もいらっしゃるかもしれません。

が・・・

時代の変革期には「選択と集中」戦略からは
コンサバティブな縮小均衡路線しか生まれません。
単発のニッチ路線もあっけなく吹き飛んで
「沈」してしまいます。

艦隊は組めませんが
ウインドサーファーにぶつからないように注意しながら
ディンギー船団を組むといったところでしょうか。

次の寄港地には、
すでに大勢の仲間が待っています。




さらにその先にも・・・。




4級船舶の免許くらいは早く取得したいものです。



目指す寄港地は各々で決めてください。



















PR通信社 イーネット・ブレーン
その先を目指すコミュニケーション戦略