2009年2月23日月曜日

映画「シリアの花嫁」

土曜日から岩波ホールで公開中の
エラン・リクリス監督の「シリアの花嫁」を見てきました。

映画の舞台はゴラン高原北部の町。
ゴラン高原は第三次中東戦争(1967年6月勃発)で
イスラエルによって占領されたシリア領です。
領土をめぐる複雑な歴史を知らなくても
巧みな構成で味わえるので心配は要りません。
内容はタイトルから受ける第一印象そのままです。
家族、国家、民主主義、いろんな幻を追い求める男達と、
それとは裏腹にたくましく生きるリアルな女達よ・・・という作品。

パンフレットに寄稿している翻訳家の
金原瑞人氏(芥川賞作家金原ひとみの実父)の
言葉も一見の価値アリです。

明日会うナジーブさんは確かシリア出身。
この映画をご観になったでしょうか。

取り急ぎ。

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2009年2月20日金曜日

ナイスなカメラワーク&編集

http://vimeo.com/3067301?pg=embed&sec

Shirley と Samuel、誰だか知らんがいい味出てます。
程よくラフな編集のセンスとカメラワークの浮遊する感じも好きです。

動きのシンメトリーやドリーのタイミングはカチッとしているし、
ラフなズームイン&アウトのカットも丁寧に切り取っています。
センターずらしたフレーミングはスチールカメラマン的な匂いがする。

ステディーカムもスタビライザーも使ってないでしょうに
機材は何で撮ってんだろう。
カメラマンに言っても「浮遊する感じ」が なかなか伝わらない。
いいサンプル見つかりました。

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2009年2月19日木曜日

スイーツと酒

今年創業40周年を迎える芦屋生まれのフランス菓子
アンリ・シャルパンティエの「2009春パリ・コレ」を
“見に”、“食べに”、そして“飲みに”いってきました。
3月から2ヶ月間だけ全国3箇所で限定発売される新作のお菓子です。
その発表会場は、オートクチュールの高級ブティックみたいな
アンリ・シャルパンティエ銀座本店。

地下にあるトイレは「開け~ゴマ」というと、
自動で扉が開きそうな隠し扉の向こう側にあります。
僕ら3人組の座った席の正面の赤いソファーは
伸ばしきった屏風のフレームにアールを付けたような
背もたれのやたら高いデザインでした。

<フューシャ>

<フューシャ>はアカバナ科の低木「フクシア」の
花の赤い色から銘銘されたそうです。
ドレスの色使いの呼び名としてはオーソドックス?
RC造(鉄筋コンクリート造)のオフィスビルみたいなフォルムをしていますが
おフランスでは静かに横に倒してフォークとナイフでいただくそうなので、
それに習って食べてみました。すると、ナッツの香りにドッキリ。
割り箸でチビチビつまみながら、

亀山酒造の超辛口の熟成純米酒「ひこ孫」
が飲みたくなりました。


<イヴレス>

「陶酔」を意味する<イブレス>は、
固焼きせんべいみたいにカリカリに焼き上げたカップに
メロンとサフランの香りが柔らかく口いっぱいに広がります。
歯ごたえのギャップの
カウンターパンチをくらってめまいが・・・
フォークで応酬するも、カップには刺さりませんでした。



<ババ・ローズ>

こちら<ババ・ローズ>もクリームの甘さの中に
カシスの酸味とバラとジャスミンが香る不思議な一品。
待ってました!と注がれた辛口のシャンパンと一緒に口に放り込むと
暗闇の中で後頭部をいきなり鈍器で殴られたような衝撃が走りました。
アルコールを含んだ炭酸がクリームに絡んでくるのです。
純米酒の「ひこ孫」でもう一度試してみたい・・・。

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2009年2月17日火曜日

日本と産油国(2)

確か去年の夏のこと。
クウェート政府がフィリピンやミャンマーなどアジアの8カ国に
合計270億ドル(約3兆円)以上を投資することを決めたと
日経新聞が報じていました。
主に政府系ファンドのクウェート投資庁を通じて、
食糧確保のために農業関連に投資するという内容でした。
先月、そのクウェートが日本との間で合意に達した
租税条約締結の流れとあわせて今、感慨深いものがあります。

感慨深さの原因は、実は落第ぎりぎりで卒業した
高校生の時の記憶にあります。
脳梗塞でいつも調子が悪くて、
3回に1回は休講になっていた世界史の先生の授業。
いつもメソポタミア文明しかやらないけど唯一眠くならない授業でした。
ヒントを出しながら、地図帳でマニアックな地名を探させて、
早いもん順に教壇で採点、正解者は順に
「カルチェラタン」という喫茶店にしけこんでいました。

ビールを片手に久しぶりに地図帳を開いてみました。
イラクとそのお隣りに位置する
ぺルシャ湾岸の小国クウェート辺りは、
紀元前3500年頃に栄えたという
かの有名な「メソポタミア文明」発祥の地。
世界初の百科事典や世界初のビール、
バベルの塔やノアの箱舟のモデルも
この地の文化から誕生したものです。
そして、ティグリス、ユーフラテス川の間の肥沃な大地では
農業が営まれていました。

当時、この農業生産性がずば抜けて高かったといいいます。 
たとえば1粒の麦を播いて、
20倍から80倍の収穫があったとうから驚きです。 
5000年たった現在でも、ヨーロッパで15倍、アメリカで23倍。
この驚異的な生産性で都市住民の胃袋を満たし、周辺の地域に輸出、
シリアなどからは杉を輸入していました。

ところが、旧約聖書やギリシャ神話にも影響を与えた
「ギルガメシュ叙事詩」の研究によると、
当時のシュメール人が灌漑農業を無理に 進めたため、
塩害が広がって耕作地が砂漠化したといいます。
シリアの森も切りつくされ消耗したと・・・。

宮崎駿のアニメ映画『天空の城ラピュタ』の舞台は
シリアの町だといわれていますが、シリアの森も
『もののけ姫』の舞台になっているという人もいます。
通説では『もののけ姫』の舞台は
屋久島の白谷雲水峡だといわれていますが、
僕は世界各地の世界史レベルから日本固有の文化に落とし込む発想が
宮崎アニメに潜んでいてもおかしくないと思います。
農業と林業の交易について良書があれば是非教えてほしいです。

つまりメソポタミア文明は、
第一次産業の資源蕩尽の結果、滅んでしまったというお話です。

現在ではクウェートに限らず、
中東の産油国の多くは、既に石油の枯渇を見越して、
農業資源の確保に走っています。
バブルがはじけたドバイでも農業に強い関心を持っているのは
農業技術通信社の浅川さんや昆さんがリポートして、
サンデープロジェクトでも特集されたとおりです。
(ちなみに浅川さんは小池百合子の後輩、カイロ大学出身)

さらに、アメリカの大富豪の投資先が
既に世界中の農地になっていることは皆さんご存知でしょうか?
これも農業技術通信社が月間「農業経営者3月号」で報じています。
この傾向はますます活発化していくでしょう。
第一次産業に関わる資源をコントロールできる技術者や企業が
富を得る時代がやってくると言うわけです。
日本人は身の回りにある自然環境と第一次産業に関わる技術に
もっと自信を持ったほうがいい。
NGOや民間任せではなく、組織的な国家戦略としても
人材を育成しないともったいない。
第二の都市鉱山を有効活用することも大切ですが、
第一次産業の宝の山が日本国土を覆っているんだから・・・。

産油国は代替エネルギーだけでなく、
第一次産業の強い国との関係強化を望んでいます。
“第一次産業に強い日本”を世界に発信することが、
エネルギー安保にも食糧安保にもつながり、
しいては世界の安定にもつながるかもしれない。
憲法第9条も、そのまんまでもいけるんじゃないか。
「美しい国日本」なんて抽象的で全然わからない。
「グリーンニューディール」なんていまさら当たり前だろう。
日本の本当の経済的価値を右翼も政治家も
理解していないんじゃないか。

ま、しょうがない・・・その辺は潔くあきらめましょう。


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2009年2月14日土曜日

日本と産油国(1)

クウェート国営テレビのプロデューサーの
ナジーブさんから電話がありました。
彼は通信社の記者もしていて、
「阿賀に生きる」で知られる佐藤真監督の助手も勤めています。
http://ja.wikipedia.org/wiki/佐藤真
最近までクウェート大使館の広報官もしていた人物で
イスラム金融について取材したのが縁で、
パーティーで再会することになりました。

先月、日本とクウェートは、                                             
お互いの企業進出などを促す租税条約を締結することで                           
基本合意しました。今後、企業への課税が軽減されます。                        
日本が中東の産油国と租税条約を基本合意したのは初めてのことです。

生活者の目線で「文化」に触れながらを「経済」をみつめていれば
「政治」の混乱にまどわされる必要はないですね。
とはいうもののアラブ問題は難しい。

アラブアジア文化交流協会の会長としても活動している
ナジーブさんと会うのが楽しみです。

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2009年2月4日水曜日

国産材に乾杯(3)

日本の林業に新たな動きが2つ出ています。

まず一つ目は 、
「林業再生」のための日本初の事業が始まるという話。
ある地域で全ての関係者が結集しました。
森林資源を計画的に伐採して、
間伐した細い木も捨てずに利用する計画です。
林業再生で最近注目を集めている京都の日吉町ではありません。
ごめんなさい。残念ながらまだ詳細は話せません・・・。

もう一つも歯切れが悪いのですが、未確認の動き。
どうやら、外国資本が日本の森を買い始めたということ。
狙いは木材資源というより水資源確保ではないかという噂です。
となると、水の貯蔵タンクとして力を発揮するブナ林?
日本の水のブランド化→海外マーケット?
富士山麓、南アルプス、鳥取の大山、九州の阿蘇では
既に日本の飲料メーカーなどが水源地を確保しています。
でも今回の外資はどうやら全く別の地方に目を付けたとのこと。
(ということは東北地方かあ・・・?)

山地は農地と比べると
資源として管理するという発想が法律上弱いという問題があります。
持続的に資源として活用するための
計画的な伐採の法規制もなく水利権についても曖昧。

今後、森との関わりを
経済的な側面で理解して管理していかないと
混乱がおきるのではないかと心配になります。
昔の「環境」や「農業」の問題もそうですが、
ロマンティックな側面だけでイメージを固定していては
取り返しのつかない「もったいない」ことになるのではないかと心配です。

なにやらいやな予感がしてきました・・・。

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2009年2月3日火曜日

国産材に乾杯(2)

山歩きが好きな人は経験があると思いますが、
標高1000m程度の山から景色を見渡したとき、
色の変化に気づきます。それは自然林と人工林との境目。

一昔前まで、僕は植林された針葉樹よりも、
紅葉やこんもりとした樹形で目を楽しませてくれる
広葉樹に愛着がわいていました。
ところが最近では、杉や檜などの針葉樹がいとおしく感じられます。
人間の手が加わった人工林が
貴重な資源として大切に引き継がれているんだなあと思うわけです。

ただし、多くの人工林は放置されたままで、
ひょろひょろの木が多く、荒れた森が増えています。
この状況は待ったなしの危機的な事態です。
人工林は植林後に間伐といって間引きをしてあげないと、
光が入らない暗い森になってしまい、
元気な木が育たなくなってしまうのです。

放置された森が増えたのは林業が衰退したため。
戦後、急いで住宅を作るために人工林の多くを
無計画に切り出してしまった日本は、
その後あわてて植林に励みましたが、
安い輸入材に押されるようになって
地主の気持ちも離れて担い手も減ってしまいました。

膨大な税金をつぎ込んで植林をしてきた木が
50年経ってようやく使える時期を迎えていますが、
このままではせっかくの資源がだめになってしまいます。

「安い輸入材に押されて衰退してしまったのだから
しょうがいないじゃないか・・・」とあきらめるのは早とちりです。
実は国産材は輸入材より既に安くなっています。
アジアやロシアなど主な丸太の輸出国が資源を確保するために
関税を引き上げていることが大きな原因になっています。
たとえば来年1月にはロシアは80%の輸出関税を予定していますが、
これは事実上の禁輸措置。
否が応でも国産材を有効利用しなくてはならない時代が
やがてやってくるわけです。

安定供給する仕組みがないため、安くてもなかなか使ってもらえない、
コストの壁が打ち破れず利益がでないため担い手が少ないという
厳しい事情もありますが、なんといっても
安くて、丈夫で、高機能。
3拍子そろった国産材のマーケットの可能性は
計り知れないものがあります。

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